大きな三日月と一番星１０

この時計に使われている大きな三日月は、大きな栗の木の一枚板から切り出したものです。大きな三日月は、栗の木の独特な木目を存分に楽しめるばかりでなく、三日月らしい風合いを楽しめる木の時計となりました。栗の木は縄文時代から建材などとして利用されていたと言われており、木材としての歴史が古い木で、独特な木目が楽しめます。

檜は福島県以南から九州にかけて生育し、寺社建築をはじめ高級建築材として使われるほか、耐湿・耐水性が良くお風呂などにも利用されてきた日本人としてなじみの深い木です。そんな檜の中でも、飯能で切り出された天然檜の無垢材から切り出した一枚板を星の形に切り出して、一番星の時計にしました。若々しい天然檜のピンクの木肌と白い木肌の美しいバランスから美しい夕焼けを思わせるその独特な木目を生かしてあります。

時刻の数字には、チンチャンからひとつずつ切り出した数字を使用しています。そして、その立体的な陰影で視認性が大変よくなっています。チンチャンとは聞きなれない木の名前ですが、手違紫檀（てちがいしたん）とも呼ばれる木です。深い紫色が味わい深い重硬な木で、無垢板はなかなか入手できない希少な木材です。

分・秒目盛りには数字のチンチャンに合わせてシックなイメージになるようアメジスト色のスワロフスキーを用い、５分毎に少し大きめのものをそれ以外を少し小さめのものにし、時間を読み取りやすいようにしました。針は、檜の星の上で見やすいように黒色にしました。

仕上げには、栗の木の風合いや天然檜の香りを損なわないよう、蜜蝋クリームを使用しています。

ムーブメントには、セイコークロック株式会社製のものを使用しています。カチコチ音のしない滑らかな動作のクオーツ時計（スイープ）のムーブメントなので、玄関の吹き抜けなどの広い空間でも音の響かない静かな時計としてご利用いただけます。ムーブメントのまわりに隙間があるのは、将来のムーブメント交換の際にどのようなものにも交換できるようにとの配慮から大きめに加工しています。壁へのあたり部分は、壁を保護するようにフェルト仕上げになっています。